再登校事例

男子中学生MM君の再登校レポート Vol.5

鍵を握る記憶

記憶のほうは、受験勉強まではなんとか終了しましたが、サッカー少年団での夏の合宿での記憶で手詰まりとなってしまいました。
 
この合宿は、子供たちが自分たちで計画し、そのとおりに事がうまく運ばなくても、みんなで協力してひとつひとつクリアしていこうというねらいで企画されているものです。
 
MMは小6の合宿で自ら立候補し、班長となり、自ら計画を立てました。
 
しかし、初日の最初の集合場所にMMと母親が遅くに到着した(遅刻はしていない)ことから、コーチ陣からケチがついてしまいました。
「班長なら10分前に来ていて当然だろ、なにやってんだ」
 
その後の乗る予定だったバスが来なかったことで、協力どころか、コーチ陣のケチに同調するかのように班員の協力もなく、
最後の宿までの道に関してストップがでたときにはもうとことん意地になってしまっていて、
 
「この道で合ってますから」と押し通し、その後の反省会で監督に駄目だしをされてしまうといったふんだりけったりの内容に、
 
私が「MMは悪くない、ちゃんと無事に宿までたどり着いたんだから」と言った言葉も加わって、「自分は悪くない。あんな態度のコーチや班員を許せない」という怒りがいっそうふくらんで、除去どころではなくなってしまいました。
 
これはもう、わたしでは説得できないと思い、当時別の班の引率をしていて、今も少年団のコーチをしている父親に話を聞いてもらうことにしました。

解説

「全く点数が減らない記憶があります」
とお母さんからメールで連絡を受けました。

その内容は、

「まず、朝の集合時間ぎりぎりに駅に到着となってしまい、コーチに怒られました。
『班長なら、10分前に来ていて当然だろ、なにやってんだ』
悪かったとは思ったけど、遅刻したわけではないのに。

このシーンは、映像、音声、感情とも、鮮明度が10からまったく数値が減りません。

サッカーの合宿当日、筑波山の山道から宿へ行くまでのルートで、MMは、車道をルートに決めていたのですが、いざそこを通っていこうとしたときに、付添のコーチから、『その道は危ないからだめだ』と言われてしまいました。

『でも、自分が決めたルートはここだから』と主張して、そこを歩いていったのですが、『あっちの山道の方が近いんじゃないか、こっちは遠回りだ、本当に着くのか』といったことをいわれたり、

班の子たちからも、『疲れたー、まだ着かない、もう歩けない』といったブーイングがあったり、

『全部おまえたち(班長2人)で決めろ』と言われて、頑張って立てた計画なのに、自分ひとりのせいにされた悔しさは、何をやっても消えないそうです。

5年生からは、『頼りない』と言われ、上から目線でものをいわれ、コーチからも『目が行き届いていない』と怒られ。」

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この合宿の詳細は長くなるので省きますが、とにかくMM君はコーチから徹底的に罵倒され、子供たちからもバカにされ、さんざんな目に遭います。

MM君が自分で立てた計画に、本来それでよしとすべき大人たちが徹底的にけちをつけるのです。

この記憶の鮮明度も、怒りの感情も、全く減らない、それどころかこの記憶を思い出している最中に眠くなり、耐えられない、とのことでした。

私はそれを聞き、この記憶を徹底的に分解に掛かります。
ありとあらゆる要素に分解し、
「この記憶を減らさせない、つまりこの記憶の成立を支えている別の記憶」
の探索に取りかかりました。

何度もメールのやりとりをし、
「他に人から見下された記憶はありませんか」
「悔しい思いをした記憶はありませんか」と、
思いつくあらゆる質問を繰り返しました。
(ここのメールのやりとりをワードにコピペすると、40ページ以上になりました。)

すると、MM君は思い出しました。
お父さんの記憶です。

お父さんもスポ少サッカーのコーチをしていたのですが、

「あと3年か4年のときの親子サッカー(イベントで、父兄、コーチ混合の大人チームと、子供たちのチームとでミニゲームをする)で、

試合中に、(敵チームでプレーしていた)父コーチに「アホか、お前何やってんだ」と言われた。

自分の何のプレーに対してそういうことを言われたのか覚えていないけれども(普通にやっていたし、ふざけていたわけでもなかった)、バカにされたと思った。

そのあと、キレてしまって、大人たちなんて蹴散らしてやるといった気持ちで、一人でボールを抱えて切り込んでいくようなプレーをし、

それに対してまたさらに何かを言われた(内容は覚えていないけれども、ゲームでやってるのにそんなのおかしいだろといったようなこと) 」

この記憶、狙い目です。それに対して私は

「この記憶はお父さんにも確認してみてください。なぜそのような発言に至ったのか(因果関係)です。
ほかにもお父さんからこのようなことを言われた記憶はないでしょうか?

なお、お父さんがサッカーが上手なのでそのような発言に至ったと考えられますので、お父さんのサッカーに関する記憶、コーチとしての記憶なども因果関係のある因子として一通り整理して、五感変容を試してみてください。」

とお願いしました。
すると、これが事態を一度にひっくり返すことになるのです。